2003年4月のコラム

2004/4/21
「クサマトリックス」
草間弥生展 森美術館
六本木ヒルズの森美術館で草間弥生展を見る。このインパクトは心地良い。水玉のような模様が空間全体を埋め尽くす。最初はその点がなんなのかわからないが次第に一つ一つが生命の証ではないかと感じるようになってくる。時には黒い点であったり、鏡であったり、レンズであったり。そのどれもが何かを映しているのだ。鏡で床壁天井を覆われた部屋の中では無数の発光ダイオードが無限空間の中でか弱き生命のように点滅を繰り返す。

フォンタナがキャンバスに穴をあけたり切り目を入れたりして一つの行為自体にその価値を見いだしたのなら草間は一つ一つの行為というよりも全体としての集合体で生存の意味を問いただしているようだった。

しかし、全く変わらないその作風には脱帽だ。草間自身が出演しているビデオが上映されているがいやすごい人だ。

2004/4/15
「イノセンス」
SF的世界と建築
押井守監督 作品の「イノセンス」が公開されている。六本木ヒルズの未来都市研究所でも関連の展示がされ、たしか東京現代美術館では球体人形展が開かれていた。一つの映画でこのように複数の展示がされることは異例ではないだろうか。未来都市研究所では巨大な東京と北京の模型と一緒に展示されている。それは、映像と模型という手法は違う虚像ながらもなんとか現実を映し出しているかのような世界観を持とうとしているている点で共通しているようで興味深かった。「イノセンス」で描かれている世界は「チャイニーズゴシック」という押井自らが考えだした世界だ。ゴシックの複雑で塔のように伸びる建築群が中国的な味付けで融合している。そして驚くことにどれも古びている。これは
虚像である映像がリアリティーを勝ち取る最も重要な要素かもしれない。アニメーションやCGはきれいすぎるから生きた感じがしない。そのための錆や汚れである。ただその映像のレベルは非常に高い。現在の日本のアニメの限界にあるのではないだろうか。あと特筆すべきはその色彩だ。なんとも深い色合いを出していてみていて飽きない。ただ、「チャイニーズゴシック」にしろ「古びた」世界、「深い」色合いにしろどうもクラシックすぎる感じがするのは私だけだろうか?SF映画の金字塔「ブレードランナー」でその考え方は既に既出のものとなっている。

それまでSFに出てくる未来都市の建物というとなにか新しくきれいでハイテクなものをイメージしてしまっていたが「ブレードランナー」ではアジア的な混沌が表現されていた。これは当時ショックだった。そのせいでクラシックと感じたのだろう。いやでも十分見応えがある映像ではあるが...

実写の映像とアニメの違いは前者ではどうしても撮影をすると意図しないものまで映り込んでしまう可能性が高いのに対し後者では意図的したものだけを映像として定着できる点であろう。これはかなり大きな違いだ。アニメーションに没入してしまうと現実がなんと猥雑としていて未整理なのかと感じてしまうほど。

現実の建築に話を移せば逆になんと恣意的な表現が多いことか。どうも負けているような気がしてならない。

column
what's new
TOP PAGE